「南海トラフ地震、いつ来るのか不安だけど、何から準備すればいいか分からない」「家具の固定は気になっているけど後回しになっている」と感じている方は多いのではないでしょうか。
政府の最新発表(2025年1月時点)では、
南海トラフ地震は今後30年以内に80%程度の確率で発生すると予測されています。死者数は最大29万8,000人、経済的損害は約292兆円という、戦後最大規模の被害が想定される地震です。
私自身は40代で、関西在住です。「南海トラフ地震が来る」と言われ続けて何十年経ちますが、まだ起きていません。ついつい気を緩めがちですが、福島県で東日本大震災を経験し、家族や親族が深刻な被害(約1週間の停電・約1ヶ月の断水・墓石の倒壊・自宅のひびなど)に遭った経験から、
「準備していれば救えた命や財産は確実にある」と痛感しています。
この記事では、
南海トラフ地震の最新被害想定、自宅の耐震対策、7日分の備蓄リスト、避難計画、家計を守る保険の備えまで、被災経験者の視点から実用的にまとめました。今日から少しずつでも始められる内容です。
南海トラフ地震とは|30年以内に80%の確率で発生
南海トラフ地震は、
静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘にかけてのプレート境界を震源とする大規模地震です。過去に約100〜150年の間隔で繰り返し発生しており、前回の発生(昭和南海地震・1946年)から既に約80年が経過しています。
政府の地震調査研究推進本部によると、
今後30年以内に発生する確率は80%程度(2025年1月時点の長期評価)。これは「天気予報で80%の確率で雨」と言われたら傘を持って出かけるレベルの高い確率です。
過去の南海トラフ地震の発生履歴
- 1854年:安政東海地震・安政南海地震(連動型)
- 1944年:昭和東南海地震(M7.9)
- 1946年:昭和南海地震(M8.0)
- 次の発生:今後30年以内に80%
歴史を見ると、約100〜150年に1度のペースで発生しており、現代日本人は「いつ起きてもおかしくない時期」に入っています。
最新の被害想定(2025年3月版)
2025年3月に内閣府が公表した最新の被害想定は以下の通りです。
戦後最大規模の被害が予測されており、東日本大震災(死者・行方不明者 約2.2万人)を大きく上回る規模になる可能性があります。
| 項目 |
想定数値 |
| 死者数 |
最大 約29万8,000人 |
| 負傷者数 |
最大 約95万人 |
| 建物全壊・焼失 |
最大 約235万棟 |
| 被害範囲 |
1都2府26県707市町村 |
| 経済的損害 |
約292兆円 |
| 最大震度 |
震度7(10県) |
| 最大津波高さ |
34m(高知県黒潮町など) |
注目すべき点は、
迅速な避難や情報伝達がうまく機能すれば、津波による死者数は最大で約7割減少すると推計されていること。事前の備えと避難訓練が文字通り命を救うことを意味しています。
南海トラフ地震臨時情報を理解する
2024年8月、宮崎県で地震が発生した際に、初めて
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。今後も同様の情報が出る可能性があるため、家族で意味を共有しておきましょう。
臨時情報の4つの種類
| 情報の種類 |
発表のタイミング |
取るべき行動 |
| 調査中 |
異常な現象が観測された直後 |
情報を注視、慌てない |
| 巨大地震警戒 |
M8以上の地震が発生した場合 |
津波想定地域は1週間自主避難 |
| 巨大地震注意 |
M7以上の地震が発生した場合 |
1週間程度、特別の警戒態勢 |
| 調査終了 |
特段の異常がないと判断 |
通常の生活に戻る |
「巨大地震警戒」が発表された場合は、津波が来る可能性がある地域の方は
自主避難の呼びかけがされます。事前にどこに避難するか、どの経路で行くかを家族で決めておくことが重要です。
自宅の耐震対策【最優先】
南海トラフ地震への備えで最優先なのは、
自宅の耐震対策です。なぜなら、近年の地震による負傷者の30〜50%が、家具類の転倒・落下・移動が原因だからです。
阪神・淡路大震災では、震度7を記録した地域において、住宅そのものは全壊・半壊を免れたにもかかわらず、約6割の部屋で家具が転倒し部屋全体に散乱しました。家が無事でも、家具で命を落とす可能性があるのです。
耐震対策①:家具のレイアウトを見直す(費用0円・今すぐできる)
まず最初にやるべきは、お金をかけずにできるレイアウトの見直しです。
- 寝室のベッド周辺に背の高い家具を置かない
- 玄関や廊下、避難経路には家具を置かない
- 家具の上にものを置かない
- テレビは寝室に置かない(地震時の落下リスク)
- 子ども部屋の上層には重いものを置かない
「寝る場所」と「座る場所」には背の高い家具を置かない、これが鉄則です。寝ている間に倒れた家具の下敷きになるリスクを避けるためです。
耐震対策②:家具を固定する(費用1,000円〜)
レイアウトを見直したら、次は家具を固定します。
最も確実な方法は
「壁にL型金具でネジ止め」です。ネジ止めが難しい賃貸住宅などの場合は、突っ張り棒とストッパー式または粘着マットの組み合わせが有効です。
家具別の固定方法
| 家具 |
推奨される固定方法 |
| 本棚・タンス |
L字金具で壁に固定、または突っ張り棒+耐震マット |
| 冷蔵庫 |
背面上部をベルトで壁と連結 |
| テレビ |
耐震マットまたはストラップで固定 |
| 食器棚 |
L字金具で固定+耐震ラッチ(扉ロック)を取り付ける |
| 電子レンジ・トースター |
耐震マットで固定 |
| パソコン・モニター |
耐震マットまたはストラップで固定 |
耐震対策③:重いものを下に収納する(費用0円・今すぐできる)
重いものほど下に収納すれば、家具の重心を下げることができ、倒れにくくなります。重いものが高い位置から落下する二次被害も防げます。
- 辞典・重い本は棚の下段に移す
- 陶器の食器は食器棚の下段に収納する
- 家具の上にものを置かない
- キッチンの吊り戸棚に重いものを入れない
寝室は特に注意が必要
寝室や子ども部屋は、家具が倒れた際の危険度が最も高い部屋です。就寝時に背の高いタンスや本棚が転倒してきても、寝ていては避けられません。
まずは寝室から対策を始めることをおすすめします。我が家もマンションで子どもがいるため、見栄えを多少犠牲にしてでも寝室の家具固定を徹底しています。
1981年以前の建物にお住まいの方へ
1981年(昭和56年)5月以前に建てられた建物は「旧耐震基準」で、震度6強〜7の地震に対して倒壊リスクが高いと言われています。
多くの自治体で
耐震診断・耐震補強の補助金制度があります。お住まいの自治体(市区町村)の建築指導課に問い合わせてみてください。1〜数十万円の補助金が出ることが多く、自費負担を大幅に減らせます。
感震ブレーカーの設置(地震火災の防止)
大地震の後の二次災害として怖いのが
「通電火災」です。停電復旧時にショート・漏電で火災が発生するケースで、阪神・淡路大震災や東日本大震災でも多発しました。
これを防ぐのが
「感震ブレーカー」。震度5強以上の揺れを検知すると自動的に電気を遮断する装置です。簡易タイプなら3,000〜5,000円で設置可能です。
7日分の備蓄リスト【家族構成別】
南海トラフ地震では
ライフライン復旧に1週間以上かかる可能性があります。最低7日分の備蓄を目指しましょう。
水・食料の必要量(1人1日3L)
| 家族構成 |
水(7日分) |
食料(7日分) |
簡易トイレ(7日分) |
| 1人暮らし |
21L |
21食 |
35回分 |
| 夫婦2人 |
42L |
42食 |
70回分 |
| 夫婦+子1人(3人) |
63L |
63食 |
105回分 |
| 夫婦+子2人(4人) |
84L |
84食 |
140回分 |
👉 詳しくは
非常食の選び方と備蓄量の目安 と
災害用 簡易トイレ おすすめ比較5選 もご覧ください。
必須備蓄品リスト
- 水(1人1日3L × 7日分)
- 非常食(家族×3食×7日分)
- 簡易トイレ(1人1日5回×7日分)
- 携帯ラジオ・モバイルバッテリー
- LEDライト(懐中電灯・ヘッドライト)
- 救急セット・常備薬・お薬手帳
- カセットコンロ・カセットボンベ
- マスク・消毒用アルコール
- 大型ゴミ袋・ラップ・使い捨て食器
- 現金(小銭含めて1〜3万円)
- 家族の連絡先メモ・重要書類のコピー
👉 防災セット選びは
1人用の防災セット おすすめ比較4選 または
家族向け防災セット おすすめ比較4選 も参考にしてください。
家族との連絡・避難計画
災害用伝言ダイヤル(171)の使い方
災害発生時は携帯電話・固定電話が繋がりにくくなります。
「災害用伝言ダイヤル(171)」を使うと、被災地の電話番号を起点にメッセージを録音・確認できます。
- 録音:171 → 1 → 自宅電話番号を入力 → メッセージ録音
- 再生:171 → 2 → 確認したい電話番号を入力 → メッセージ再生
毎月1日と15日、防災週間(8月30日〜9月5日)等は無料で体験利用できます。
家族で一度練習しておくのが鉄則です。
家族の集合場所と避難ルート
地震直後は通信が混乱するため、
事前に家族の集合場所と避難ルートを決めておくことが命を救います。
- 第1集合場所:自宅近くの公園・小学校
- 第2集合場所:自治体指定の避難所
- 第3集合場所:遠方の親戚宅(津波・大規模火災時)
- 避難ルート:複数パターン(メインルートが封鎖された時のため)
ハザードマップで自宅のリスクを確認
国土交通省の
「ハザードマップポータルサイト」で、自宅の災害リスクを確認しておきましょう。
- 津波浸水想定(沿岸部)
- 洪水浸水想定区域
- 土砂災害警戒区域
- 地震揺れやすさマップ
- 液状化マップ
👉
国土交通省 ハザードマップポータルサイト
特に注意が必要な方
太平洋沿岸にお住まいの方
津波の到達時間が非常に短い地域があります。
静岡・三重・和歌山・徳島・高知の一部では、地震発生から5分以内に津波が来る可能性があります。
「揺れたらすぐ高台へ」を徹底しましょう。家族や持ち物を取りに戻ろうとせず、
命を最優先に避難することが命を救います。
木造住宅にお住まいの方
1981年以前に建てられた木造住宅は
倒壊リスクが特に高いです。耐震診断・耐震補強の補助金制度を必ず確認してください。
小さな子ども・高齢者がいるご家庭
避難に時間がかかるため、
「揺れる前から動き出せる体制」が重要です。日頃から避難訓練を家族で行い、子どもや高齢者でも背負える軽量リュックを用意しましょう。
マンション住まいの方
マンションは耐震性が比較的高いため、
在宅避難が基本になります。ただし、停電・断水・エレベーター停止・火災のリスクがあるため、長期備蓄が特に重要です。
家計を守る経済的な備え
南海トラフ地震では、
住宅の再建費用が数百万〜千万円単位になる可能性があります。経済的な備えとして以下の3つを検討してください。
1. 地震保険への加入
火災保険だけでは地震・津波・噴火による被害は補償されません。
地震保険は別途加入が必須です。
東日本大震災では、火災保険のみ加入で地震保険未加入だった世帯が、津波で家を失っても1円も支払われず、住宅再建に困窮するケースが多発しました。
👉 詳しくは
火災保険・地震保険の見直しガイド|災害時の家計を守る選び方と一括見積もり活用法 をご覧ください。一括見積もりで複数社を無料比較する方法も解説しています。
2. 災害用の現金備蓄
停電でATM・電子決済が使えなくなることを想定し、
家族で1〜3万円程度の現金(小銭含む)を備えておきましょう。
3. 自治体の災害見舞金制度
多くの自治体で災害見舞金制度があります。住宅の全壊・半壊・床上浸水で支給対象になることが多いので、お住まいの自治体の制度を事前に確認しておきましょう。
今日からできる5つのアクション
南海トラフ地震は「いつ起きてもおかしくない」状況です。完璧を目指すと始められないので、
今日からこの5つだけでも始めてみてください。
- ハザードマップで自宅の津波・震度リスクを確認(5分)
- 寝室の家具のレイアウトを見直す(30分・費用0円)
- 水を1ケース(2L×6本)買い置きする(次の買い物のついで)
- 家族で集合場所と避難ルートを話し合う(5分)
- 火災保険・地震保険の加入状況を確認する(10分)
5つすべて合計しても1時間以内です。完璧を目指す必要はありません。今日のこの一歩が、家族の命と財産を守ることにつながります。
南海トラフ地震に関するよくある質問
Q1. 南海トラフ地震は本当に来るの?
政府の地震調査研究推進本部によると、
30年以内に80%程度の確率で発生すると公表されています。過去のサイクル(100〜150年)から見ても、いつ起きてもおかしくない時期に入っています。
Q2. 賃貸住宅でも家具固定はできる?
はい、できます。
突っ張り棒+耐震マットの組み合わせなら、壁に穴を開けずに固定できます。Amazon・楽天で「家具転倒防止 突っ張り棒」と検索すると数千円で揃います。
Q3. 揺れている最中はどう動けばいい?
揺れの最中は
「無理に動かず、頭を守る」のが基本。テーブルの下に潜る、クッションで頭を守るなどして、揺れがおさまるのを待ちます。揺れがおさまってから、安全を確認して避難開始します。
Q4. 「南海トラフ地震臨時情報」が出たら何をする?
「巨大地震警戒」が出たら、津波想定地域は
1週間程度自主避難します。「巨大地震注意」「調査中」の場合は、特別な警戒態勢で過ごしつつ、いつでも避難できる準備をしておきましょう。
Q5. 備蓄はどこに保管すればいい?
分散保管が基本です。
キッチン・押入れ・玄関・寝室など複数箇所に分けて保管します。1か所にまとめると、その部屋が崩れた時にすべて使えなくなる可能性があります。
参考:公的機関の情報
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まとめ:今日の一歩が家族の命を守る
東日本大震災を福島で経験した私が痛感したのは、
「災害は本当に来る」「準備していれば救える命や財産がある」ということです。家族や親族が深刻な被害に遭った姿を間近で見て、「もっと備えていれば」と何度思ったか分かりません。
南海トラフ地震は30年以内に80%の確率で発生すると予測されています。「天気予報で80%なら傘を持っていく」レベルの確率です。
今日のこの記事が、ご家族の防災対策を一歩進めるきっかけになればと願っています。
- ハザードマップで自宅のリスクを確認する
- 寝室の家具レイアウトを見直す
- 水・非常食・簡易トイレを7日分備蓄する
- 家族で集合場所と避難ルートを話し合う
- 火災保険・地震保険の加入状況を確認する
完璧を目指さず、できることから少しずつ。それが結局のところ、家族の命と財産を守る最も確実な方法です。